【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /6話「俺がお前といて楽しいんだ」











 


アキ「へへ、爺やが来るまで何すっかな~。」



変な人だと思った……彼を。底抜けに明るい人物なのに、部屋は真っ暗が好きだなんて。



アキ「あ、そーだ!ゲームでもやろうぜ♪」



ケイ『ゲーム…?』



ゲームという単語を聞いて、私は頭の上にはてなマークを浮かべた。



アキ「ん?もしかして分かんないのか?」



ケイ『ん。』



アキ「まあ、俺が教えるより実際やってみる方がいいかもな♪」












「ゲーム」というものを初めて知り、初めてやった。



そして分かったことがある。……この男。



(強い……かなり…)



アキ「お前、惨敗だな~…でも初めてにしては上手いじゃん♪」



「ゲーム」というものでこんなに強いのだから、実際に私と



闘ってみたらどのくらい強いのだろうか。



アキ「あ、爺やが歩いてくる足音がするな~。お前、爺やに見られても大丈夫なのか?」



ケイ『見られちゃまずい。非常に。』



アキ「うえっ!?それヤバいだろ!爺やもうそこまで来てる!」



コンコンとドアを控えめにノックする音が聞こえる。



爺や「アキ様、爺やでございます。ピーチティーとスイーツをお持ちいたしました、失礼します。」



ドアの向こうから爺やの落ち着いた声がする。



アキ「やべッ!」



ガチャ、とドアが開き、爺やが歩みを進めてくる。



爺や「……む?先ほどお客様がいらしているとのことでしたが、そのお方は…帰られてしまったのですかな?」



アキ「あ…あ~っと……そいつちょっとシャイなヤツでさ!部屋ん中に隠れちまって~…。」



爺や「むむッ!アキ様のお客様はとても恥ずかしがり屋な方なのですかな!?これは失礼いたしましたッ!お邪魔にならぬよう、ワタクシはこれにてッ!……失礼いたします。」



アキ「ハハ、サンキューな~♪」



ガチャ、という音と共に爺やは静かに去って行った。



アキ「……ふう、寿命が3日縮まったな(笑)」



ケイ『…。』



私はというと、この男の腕の中にいた。とっさに抱きしめられて、彼の大きな身体で小さな私は見事に隠れていた。



アキ「悪いな、とっさだったとは言え…こんなヤツに抱きしめられるなんて嫌だったろうに。」



ケイ『…確かに、不快な気分にはなったけど。』



アキ「お前…ッ、ハハッ!正直なヤツだなあ、嫌いじゃねえ♪」



そう言って、無邪気に笑っている彼と、何時間もゲームをして遊んだ。








……茜色の窓、血みたいに赤い空。もう、すっかり日暮れ時だった。



アキ「時間が経つのってさ、こんなに早かったかな……。」



ふと、彼はひょんなことを口にした。



アキ「あ、いや!何でもねえんだ!もうこんな時間だし、何なら、家まで送ってくぞ?」



(……その帰る家も、今日からここなんだけどな)



私は何と説明したらいいか分からず、面倒くさくなったので最後まで隠し通すことにした。



ケイ『いい。自分で帰れる。すぐそこだし。』



アキ「え?すぐそこって、ここらへんこの屋敷以外家なんか……って、ちょっとお!?」



私は話を聞き流して彼の部屋を後にした。



廊下を歩いていると、後ろから彼が走り寄ってきた。……息を切らしながら。



ケイ『…どうしたの。』



アキ「あのさ!また、来てくれるか…?」



ケイ『え…?』



両手を両ひざに添えて、乱れた息を整えながら、彼は言う。



アキ「あ、いや!来たくなかったらいいんだけどさっ!……俺、今日お前と過ごして、久々にすっげー楽しかったって思えて…、また、お前に会いたいなんて思ってる……。」



ケイ『……。』



アキ「ダメか…?」



先ほどまで必死の形相だったのが、今度は少し不安そうな目で私を見つめている。



そんなことを言われたのは、生まれてこのかた初めてだった。



彼が何故そんなことを言うのか、まったく見当もつかなかった。



ケイ『私、ただその場にいるだけで、必要がないと判断すれば話さないし……、こんな人間といて楽しいなんて、やっぱり変人…。』



彼は面食らったような顔をしたあとに、ふっと笑って言った。



アキ「そんなの、全然オッケー!だって、〝俺がお前といて楽しい〟んだからな♪」



ああ、やっぱりこの男はおかしいんだ。どうしよう、そんなことを言われると返答に困る、非常に。



ケイ『……。』











 

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