【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /60話「すれ違い」







 
シャキ、シャキ…。



ドアを開けると、ケイは部屋の中で…。



自分の、髪を……。



ケイ『……アキオ…。』



アキ「ケイ…ッ!何してんだ、お前ッ…!」



ケイ『いつもは、こうやって…伸ばさないように、ちゃんと切ってた。でも……、』



アキ「もういいからッ!やめろッ…!」



俺は、ケイが右手に持つハサミを取り上げた。



ケイ『……。』



アキ「ああ、もう…せっかく少し伸びたのに、元の長さに戻っちまったな……。」



ケイ『これで、いい…。』



アキ「いいって…良くないだろ!?」



ケイ『大丈夫、私は……、大丈夫だから。』



アキ「ケイ…。」



ケイ『…夕飯、行こう。』



アキ「あ、ああ……って、あれっ?」



ケイ『どうしたの…アキオ。』



アキ「ロイのやつ、さっきまでいたのに…な。」



ケイ『ロイが…?』



アキ「…さきに行っちまったのか。ああ、俺らも早く行くか!」



ケイ『ん…。』



それから、夕食の席についても、ロイのやつはいなかった。



周りのメイドや姉貴は「どこへ行ったのか」と話していたが、



ケイはいつも通り、食事を無言で取っているだけだった。



夕食が終わると、俺はケイに質問した。



アキ「今日はどうすんだっ?また、俺の部屋に来るか?」



ケイ『今日は、いい…。』



アキ「…そっか。じゃあ、また今度だな♪」



ケイ『うん。』



アキ「んじゃ、おやすみな♪」



ケイ『…おやすみ。』














・・・・・・



(ロイside)



ケイのやつが自分で髪を切るのは、いつものことだ。



昔から、いっつもアイツの言いつけを守って。



ロイ「ハァ……面倒くせぇ。」



女は、嫌いだ。



女ってのは、すぐに泣くし、弱えし、もろい…。



でも、……ケイだけは違う。



アイツだけは、他の女とは違う。



何があっても動じねえし、泣いたりしねえ。



それに、ケイは男より強い。自分よりデカい大男のことも、



軽々と倒しちまう……。



ケイは、女なんかじゃなくていい。



アイツは、アイツのままでいい。



でねえと、俺は――。



コン、コン…



俺の部屋のドアが、ゆっくりとノックされた。



ロイ「…誰だ?そこにいるヤツ。」



ケイ『私だけど…。』



ロイ「……入れよ。」



ガチャ…



ケイ『…相変わらず、真っ暗にしてるんだ。』



ロイ「明るい場所なんて嫌いだっつーの。つか、オメエならよく知ってんだろ。ずっと一緒にいたんだからな。」



ケイ『まあ。でも、また会えるとは思ってなかったけど。私は、先生からも逃げて、ロイからも…』



ロイ「別に、俺は気にしてなんかねえっつの。ケイがどこに行こうが、逃げようが…俺には関係ねぇし。」



ケイ『そういうわりには、私を探して家を出てきてくれたんだよね?』



ロイ「なッ…!うるっせえ黙れ!別にそんなんじゃねぇよッ!」



ケイ『あれ…違うの?』



ロイ「…ッ、」



ケイ『まあいいけど。』



ロイ「つーかお前、髪……、まさかとは思うが、俺が言ったこと、気にしてんのか…。」



ケイ『え…。』



ロイ「いや、悪りい。馬鹿なこと聞いたな。お前は細かいこと気にするような、器の小せぇ人間じゃねえ…。」



ケイ『ロイ…。』



ロイ「ケイ、お前は…今も昔も、最強の騎士だ。お前は、強い。絶対に。そういう…ヤツだろ?」



ケイ『……。』



ロイ「何で黙ってんだよ…あの野郎に出会って、変わったって言うのか?お前は、あの野郎に女扱いでもされて、嬉しかったのか…?」



ケイ『…違う。』



ロイ「……嘘だな、お前は、無意識のうちに喜んでんだよ…。あの野郎に女扱いされて、優しくしてもらって…大事にされてな。」



ケイ『そんなんじゃない…。アキオは、誰にでもああなの。皆に分け隔てなく優しくて、私なんて……。』



ロイ「なんだ、ちゃんと意識してんじゃねーかよ。あの野郎のこと、女としてな。」



ケイ『違う…私は、』



ロイ「あー…マジでもう無理。何も聞きたくねぇ。」



ケイ『ロイ…。』



ロイ「人がせっかくここまで追いかけてきてやっても、どうせコレだ…。」(ボソッ)



ケイ『え…?』



ロイ「もう帰れよッ!お前の面見てっと、もう俺…最高に虫唾が走るんだよッ!」



ケイ『……分かった。』



ギイイ…ガチャン



ロイ「クソッ…マジで何なんだよ…!」








 

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