【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /62話「出発」










 
深夜2時……屋敷中の誰しもが寝静まっただろう時間。



静かに自分の部屋のドアを閉め、長たらしい廊下を歩き、



階段を降り、屋敷の玄関に手を掛けた。



ケイ『何を今さら…迷うことなんて、何一つ…ないというのに。」



私をその場に留まらせているものは、何だろうか。



プライム家の人々との、思い出…?



そうだな……だとしたら、私には充分すぎた。



私の身には余るくらいの、幸せな時間だった……。



私が、ここにこのまま居続ければ…私のせいで、みんなは…、



私は、玄関のドアに力をこめ、押し開けた。



――違う、私は迷ってなんかない。



自分のことは自分で、自分だけで、何とかするんだ――。



・・・・・・。

















(セラside)



朝、カーテンに射す光で目が覚めた…。



セラ「……ああ、そうだったわ。ケイは、昨日…。」



私だけに、別れを告げて―――



コンコン、と、私の部屋の扉が鳴る音がした。



セラ「…!ケイッ…!?」



とっさに、ケイの名前を呼んでしまった…が、



爺や「セラ様!?ケイ様のお名前を叫ばれて、どうされたのですか!?」



セラ「あ……いや、何でもないわ…。」



ケイなわけないのに、ケイじゃないと分かって、空しくなった。



爺や「ケイ様でなく申し訳ありませんッ!まさか、セラ様がケイ様のことを好いていられるとは言え、私とケイ様を見間違いになるとは…ッ!」



セラ「爺やとケイじゃ、間違えようがないわ……似ても似つかないもの…。」



爺や「セラ様…?心なしか、お元気がないご様子ですが…、ケイ様をこちらにお呼びしましょうか…?」



ケイを呼ぶって、ケイはもう、ここにはいないのに……。



セラ「その必要はないわ…同じ家にいるのだし、朝食の席で会うでしょうし…。」



爺や「まあ、そうでしたね…お着換えをお持ちしました。こちらに置かせていただきますね。」



セラ「……ええ。」



爺や「それでは、失礼いたしました。」



・・・・・・。












私が朝食の席についた時には、予想していた通り、ケイは…。



モニカ「あ、おはようございます~!セラ様、今日は何故か、ケイちゃんもアキ様もまだなんですよ~…」



マリエ「おはようございます♪ロイさんは、相変わらず部屋に籠もってますけど…。」



セラ「そう…アキはともなく、ケイが来ないことなんてあるのね…。」



エミリー「あの食べることがお好きなケイ様が!ですよ!?」



セラ「…本当ね。」



モニカ「セラ様?何だか、お元気がないような…。」



マリエ「あら、本当ですね?」



セラ「え?ああ、違うの…気にしないで。」



エミリー「セラ様の元気が出るように、私がケイ様を連れてきましょうか!?ケイ様を朝起こせるなんて…はあ、夢みたい♪」



セラ「そ、その必要はないんじゃないかしら?たぶん、疲れて寝ているのよ…。」



エミリー「?セラ様がそうおっしゃるなら…。」



セラ「朝食が冷めてしまうから、私たちだけでいただいちゃいましょう?」



何とか、朝食の場ではもちこたえたわね…。



・・・・・・。







マリエ「セラ様のご朝食が終了されたところで、私はケイさんに朝食を届けてきますね♪」



セラ「え!?その必要はないんじゃないの!?ほら、ケイじゃなくて、アキとか!あのロイとかいう男にでも!」



マリエ「え?そうでしょうか?」



セラ「それに、ケイの朝食なら私が届けるわよ!」



マリエ「ええ?さすがにセラ様にそのようなことは……分かりました、では、アキ様とロイさんに届けて参りますね♪」



セラ「え、ええ!そうしてもらえるかしら!?」



モニカ「何だかセラ様、急にお元気になられたみたい♪」



エミリー「本当ですわ!さきほどまでは世界の終わりのようなお顔をされていましたのに!」



セラ「せ、世界の終わり…?」



私が、そんな顔をしていたというの…?



・・・・・・。







昼前になる頃、私が廊下を歩いていると……



アキ「ロイ、お前なんか今日元気ねえな?どうしたんだよ?」



ロイ「別に、何もねぇよ…。」



アキ「そうか~?さては、またケイと何かあったんだろ?」



ロイ「……。」



アキ「えっ…図星っ?」



セラ(面倒な二人が起きてきたわね…)



私はとっさにそこにあった廊下の柱の陰に隠れた。











  

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