【 Knight / night 】~主従ファンタジーラブコメ~

章タイトル未設定 /8話「アキ様に女性の影?」





5、6分ほど遅れてあの男が二階から降りて来て、悪気もなく食事の席に座った。



アキ「おっ、やっぱパンとスープじゃ~ん♪今日も作ってくれたのマリエさん?すっげえ美味しそう!」



マリエ「私の身には余るお言葉です。ですが、ありがとうございます♪」



アキ「いつもありがとう!いただきます♪」



一口目を口に入れようとする彼を、セラ様が制した。



セラ「アンタが夕食に参加するなんて珍しいわね?しかも、遅れて来ておいて悪びれる様子もないのね?」



セラ様の言葉から、鋭い刃物のように尖ったものを感じた。



けれども、彼は何も気にした様子はなく、「えっ?あ~悪りい悪りい♪」と、ニカッと笑った。



何だか、彼が食事の席に来てから、周りの雰囲気がパッと明るくなった気がする。



別に、先ほどまでの雰囲気が暗かった、とか、居づらかった、とか、そういうわけではないのに。



セラ「そうだわ、アキ。アンタにも紹介しておかないとね。」



アキ「んっ?」



来た、と思った。セラ様は、私を紹介しようとしているんだ。



彼はというと、私に気付かず呑気に口をもぐもぐとさせているが。



セラ様は自分の席を立ち、ヒールをコツコツと鳴らして、私のそばまで歩み寄って来た。



セラ「この子が、今日から我がプライム家に、騎士・護衛として来た……ケイよ。」



アキ「………騎士……護衛…?」



彼は、面食らってぽかんとした顔でいる。その数秒後、何かを思い出したかのように叫んだ。



アキ「あーーーッ!?」



彼は自分の椅子からガタッと立ち上がり、私を指差した。



モニカ「あ、アキ様…?」



エミリー「もう!何なんですのアキ様!急に叫んだりして!ビックリするじゃありませんこと!?」



セラ「そうよ、食事の最中に行儀が悪いわ!」



という具合に、メイドからもセラ様からも彼はたしなめられている。



アキ「お前、さっきの!?」



ケイ『……。』



内心ギクッとしたものの、私は何事もないかのような涼しい顔つきでスープを飲み干した。



爺や「〝さっきの〟…?そういえば、アキ様!本日は珍しくお出かけに行かれ、お客様をお連れしていましたがッ!」



マリエ「あら、それなら私も廊下でお見受けしましたね♪アキ様のお背中に隠れてしまうぐらいの可愛らしいお客様だったような…」



私は知らん顔を貫き、黙って食事を続けた。



セラ「アキ、爺やもマリエもそう言っているけど、まさか……アンタのお客人というのは、」



さすがにまずいと思い、私は彼に「言ったら殺す」という念を込めた視線を送り続けた。



すると彼はそれに気づいたようで、困った顔で笑いながら、



アキ「え?ああ違う違う!何か、俺の思い違い?みたいでさ、そこの子とは初対面だし、何もないって♪」



そういうふうにごまかせるところは機転がきいているようで助かった、と思った。



セラ「本当なのね?ケイとは何もないのね?」



セラ様の冷めた視線が彼に刺さるようだった。



アキ「ないない、何にもない♪」



セラ「爺や、マリエ。アキのお客人の相手がケイじゃないという確証は?」



爺や「実は、お顔や姿は拝見できていなかったゆえ……。」



マリエ「私も、アキ様がそのお客様を背後に必死に隠されていたので、残念ながら見ることも叶わず…でしたね♪」



マリエ「……あ、ですがー…、」



とっさにマリエさんが口を挟み、嫌な予感しかしなかった。



セラ「どうしたの?マリエ。」



マリエ「ふふ、きっとそのお客様、アキ様にとって大事な方なんですね♪なんせ、ご自分の背中に必死に隠そうとして、まるで……〝他の誰にも見せたくない〟…といった感じがしたので♪」



アキ「なッ!?」



彼は、顔から火が出るのではないかというような顔色になった。



セラ「……は?」



マリエ「まるで、そのお方を守っているかのような…♪」



アキ「ちょーっとタンマーーーーッッ!!」



喋り続けるマリエさんを、彼が半ば無理やり阻止した。



セラ「……つまり、アキは実は知らないところで、女性と交際していたというのかしら?」



モニカ「えっ初耳です!水臭いですアキ様!そこらへん詳しく聞かせてください!」



エミリー「〝あの〟アキ様に女性の影があったなんて驚きですわ!」



爺や「ホアアアアアアアアッッ!つつつついにイッ!アキ様にも心に決められた女性がアアアアーーッッ!」



アキ「え~っと……。」



彼は困った顔で苦笑いを浮かべていた。











 

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