彼と彼女のラブアフェア 【完】

作者ヒビキ ケイ

「シカトすんな」「うるさい、黙れ、気が散る」顔を合わせば喧嘩ばかり。喧嘩するほど仲がいい、は果たして長尾と新田には当てはまるのだろうか…?




「――と、幸せに暮らしましたとさ。

めでたし、めでたし」


遠い昔に聞いたおとぎ話の締め括りは、

いつだって「めでたし、めでたし」だった。




当時子供だった私は、大人が読み聞かせてくれる物語のほとんどが「めでたしめでたし」で終わるから、

疑いもせず、そういうものなんだと無条件に信じていた。


でも、現実は違った。


私は、大切な大前提を見落としていた。


物語の冒頭は、いつだって、




「むかし、むかし、あるところに」




という台詞が書いてあったのに。



親切にも、




“これは今の話でも、あなたが住んでいる場所の話でもありません”




と注釈してあったのに。



私が暮らしているこの世の中は、

そんなに甘くなかった。



この世はいつだって戦いにあふれている。



この世の中は2つのタイプの人間で構成されているのだ。




勝者と敗者。




恋も就職も出世も敗れたら、

夢や希望は人魚姫のように海の泡になって消える。


戦いに敗れたものには、

屈辱にまみれた生活しか残されていない。



だから、みんな必死だ。


当然、私も必死だった。


なのに、敗れてしまった。


敗戦国の住人になってしまった。




“受験”という名の過酷な戦争で――…。






彼と彼女のラブアフェア