エントリーナンバー(完)

第四章 最後の戦い

 
「例の娘は……」


克男は医務室に入る。


病院の手術室のような部屋。

そのベッドに一人の女が寝ていた。

頭に精密機械を取り込んだ仮面をつけている。
 

「ただいま記憶の消去をしております」 


研究所の医師は言う。


「それにしても凄いね。そんなことできるんだね。今の日本の科学って……記憶の消去なんて。一昔前までは、SFの世界でしょ。そんなのってっさ」


克男は子供のようにケラケラ笑った。


「あちらさんの技術ですよ。記憶消しは」


 医師は皮肉めいた笑顔を見せる。


「で、どうするわけさ。この子、きっとさ、精神いかれちゃったよ。そのへんはほっておくの」


「そんな事、我々の知っちゃ事じゃないです。違いますか」


「違わないけどさ。そりゃ、冷たいだろ。」


「そんな楽しそうに言われても困りますよ。」


「そんなに、楽しそうに見えるかい」


医師はしばらく考えて、


「見えますね」


と答えた。


「言ってくれるね」


克夫は声を出して笑った。


0
  • しおりをはさむ
  • 16
  • 1
/ 308ページ
このページを編集する