エデン【完】




「真北ちゃん、ちょっと延長出来る?」

「大丈夫ですよ!」

「羽唯ちゃんは……えーっと、時と場合…。」

「″ときとば″ですね。」

「まぁ、声掛けるからそれまで頑張って!」


それから店長は「妊娠か…」と再び言葉を零して、床に落ちたピンクのマカロンを拾ってゴミ箱に捨てていた。


あたしはケーキを頬張りながらその様子を見て、手の前に座って頬杖をついた店長を見つめる。

不意に、店長が顔を上げた。


「生命《いのち》がこの世に増えるのは良い事だと思う?」


なんて、あたしにしか聞こえない声で問いてきた店長が顎に生えた髭を触りながら白い机に視線を落とした。


「唐突ですね。」

「いや、最近の子はそういうのどう思ってんのかなーって思ってさ。特に羽唯ちゃんは……」

「あたし?」

「…………。」

「あたしが何ですか?」

0
  • しおりをはさむ
  • 3
  • 373
/ 72ページ
このページを編集する