エデン【完】




「起きた?」

「……眠いです。」

「ははっ、俺が居なきゃ寝れないって?」

「んなわけ。」

「否定すんなよー。」


ベランダで煙草を吸っている秋さんの隣へと歩みを進めて、あたしは月灯りへと手を伸ばすように雲のない空を見上げる。


深い、深い黒と紺の境目に存在する空。

深海よりも深い宇宙《そら》に思いを馳せることは今のあたしには何も無い。


深く、遠く、何も考えなくてもいい、そんなことを求めていた場所は寂しすぎた。


「いつも、この時間に煙草吸ってる…。」

「そう?」

「昨日も2時でした。」

「あー……悪ぃな、煙草嫌いだったな。」


そう言って口から離した煙草の先端を潰そうとした秋さんの手を思い切り握ってしまったあたしは居た堪らない気持ちに襲われた。

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