Luna.

Vanilla kiss




ポツリポツリ、水面に波紋する雨粒を眺めながら、あたしは赤の傘の下で一息吐いた。



「夏なのに、雨ばっかりだね。」



濡れた地面はあたしを嘲笑うように見上げていて、雫の着いた茶色のローファーは今にも崩れてしまいそうなあたし自身を支えてくれていた。


雨の日は実に感傷的だ。

足元に咲いた可愛らしいピンクの花にまで哀感を感じ、無性に泣きたくなるのは空から降る涙のせいか――はたまた傘に弾かれる滴の音か。


噎せ返るように喉の奥が熱くなって、俯いた途端、



「――……っ、」



溢れた涙は重力に逆らうことなく地面に落ちた。


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