Luna.

灰色に白んだ言葉



その日、あたしが家に着いたのは夜8時だった。

空気の悪い車内は不機嫌なハルが吸った煙草の香りと雨の匂いで充満していて、更にはチカさんまで吸い始めてヤニ臭さに酔いそうになった。


車が止まったのは学校から10分ほど歩いた距離にある高層マンションでハルはそのまま車内に居て、トウマさんは何も言わず車を降りて行った。


“殺人鬼”を意味する“マーダー”をあたしに向かって呟いたトウマさんのあの声が頭の中で反芻する。

どうしてあたしはそんな事を言われたのだろう。

あたしはただ反芻する声にそんな疑問を踊らす事もなく無意味な感情を繰り返しながらパーカーの裾を握った。



結局「送っていく」と言い続けられたあたしは大人しくマンションの場所を教えて、チカさんの運転する車で自宅まで帰った。

0
  • しおりをはさむ
  • 33
  • 364
/ 270ページ
このページを編集する