絶望人生~本当の幸せ~【完】

8章 /終わる世界

春の微風に頬をくすぐられるような穏やかな夜。

車の数が比較的少ない歩道を歩きながら、腕時計を見るともうすぐ20時になろうとしていた。

ここから、警察署まで少し距離があった。


歩きながら、娑婆(しゃば)の空気をできるだけ堪能しようと思った。


見上げた夜空に二つばかりの星がキラキラと輝いていた。


歩道をしばらく歩くと十字路が見えてきた。


そして、十字路の横断報道を手を繋いで楽しいそうに歩くカップルに目が釘付けになった。


そして、抑えられない高揚から吹き出すように涙が溢れてきた。



これは悲しい時に流す涙ではない。



悔しい時に流す涙だ。




―――許さない



絶対に許さない。



完全に眠ったはずの狂気が再び目を覚ます。



手を繋いで歩いているカップルの男性はイブの夜にわたしを裏切り、そして絶望のどん底に陥れたハヤトだった。



わたしがどれほど、あの男のせいで苦しめられたか……



あの男のせいでわたしは……わたしは……



なのに、なんであの男は今、別の女性と楽しそうに手を繋いで歩いているんだ?



―――ふざけるな!!



あの男は幸せになる権利などない。



壊してやる。



あの男を壊してやる!!

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