カラスの瞳に映るもの

第一章 /場違いな子



桔梗様、お元気ですか?


わたくし、小梅は無事高校一年生になりました。


桔梗様に黙って黒鳥学園に入学してしまったこと、反省はしていますが、後悔はしていませんわ!


ここは噂に違わず危なそうな方たちでいっぱいです。


行く先々でのジトッと絡みつくような視線には慣れそうにはありません。


少し、ほんの少しだけ、ここに来てしまったことを後悔してしまいそうです。


それでも今度こそは桔梗様のお役に立つため!


と、自身を奮い立たせていたのですが………、



ドガッーーー



と、大きな音を立て、わたくしの顔スレスレで壁に当たったその拳をビクリと肩を揺らして凝視する。



ーーーどうしてこうなったのでしょう?



確か、入学式を終え、下校しようと教室を出た瞬間この男の方に人気のない廊下へ連れ込まれたハズですわ。



「こんぐらいでビビるようじゃここで生きていけねぇって。悪いこと言わねぇからとっとと出てけ」



目つきの悪い金髪男が至近距離で睨む。



こういう方に会ったことも、目の前でメンチ(で合ってるでしょうか?)を切られたこともないわたくしにそれはしばらくの間、言葉を発せなくさせるのに十分な効果を持っていた。



「、い、いやですわっ」


勇気を振り絞って出した声は震えて情けないものになってしまった。


「あぁ!?」


荒げた声に再び肩が跳ね上がる。


「まぁまぁ〜」


そう言って私たちの間に割って入ったのはセミロングで黒髪の幼顔の女の子。


「貴女は?」


同性が現れたことに心が落ち着いたのか、今度はすんなり言葉にできた。


「私は三國 夜宵。夜宵でいいよ〜。それから、」


「ほら、小波も」と先程の彼をわたくしの前に押し出した。


恐怖が先行して思わず身構えてしまう。


「俺もっすか!?」なんて驚いた声を上げて夜宵さんに文句を言っていた彼も、彼女に「やれ」と真顔で言われると素直に


「小波 清一」


と簡潔に名乗った。




なんだか夜宵さんって、ニコニコと笑っている時は特別目を惹く方ではありませんでしたが、こう、今のように真顔になるとなんだかガラリと雰囲気が変わる…不思議な方ですわ……。



と、自分がまだ名乗っていないことを思い出した。


わたくしは竹島 小梅と申します。何とでも呼んでくださいまし」


腰を折り曲げお辞儀をする。




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