カラスの瞳に映るもの

第一章 /言いようのない苛立ち





「あれ、てつは〜?」



あの後、学校を後にした私と小波は“カラス”のアジトへと向かった。



制服のブレザーを脱いで近くのソファーに掛けつつ、周りを見渡してもう一人の幹部の姿を探せば、


「あ、なんか絡まれたからちょっと遅くなるって連絡来てましたよ」


と耳やら鼻やらにピアスをじゃらじゃら付けた男がスマホ片手に教えてくれた。



「えー! てつのヤツ何してんだよ!」


つまらなそうに口を尖らせドカリと私の隣に座った。



「そういうことなら、先に始めとくか〜」


そう言うと、すぐさま『うすっ!!』と野太い声があちこちから聞こえた。



ウチのトップは今不在で、トップの不在時は副総長である私が仕切ることになっている。


最初は女の私が皆の上に立っていいのか不安だったけど、小波やてつをはじめ、ここにいる皆がスンナリ認めてくれた。



あの時は本当に嬉しかった。



当時のことを思い出し、思わず目を細める。


周りからの評価はあれだけど、ここは暖かい人だらけで居心地がいい。



ーーまぁ悪の巣窟であることに間違いはないんだけど。




「じゃあ、俺から報告させてもらいやす」


そう言ってスキンヘッドの男が一人現れた。


「実は最近“タカ”がウチを潰そうと本格的に動き出したみたいです。

あと、“ささくれ”なんっすけど、今日はいつもの倍の数が暴れそうです」



その報告に「アイツら最近大人しかったもんね〜」と返し、ちょっと考える。



“ささくれ”はいつものこととして、“タカ”がねぇ〜…。


こりゃまた面倒くさいことになったもんだ。



この二つの単語が出た途端、グンと一層重くなる周りの空気に一つ息を吐いた。



「ってことは、“タカ”が“ウミネコ”と“フクロウ”の二族と同盟を結んだって話も本当ってことっすかね?」


「たぶんね〜…」


噂の域を超えなかった三つの族の同盟も“カラス”を潰す為に動いた結果なら頷ける。



にしても、……やられた。


これで余計に“桔梗様”に迂闊に近付けなくなったじゃないか。










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