カラスの瞳に映るもの

第一章 /御宅訪問







〜時は遡って少し前〜




「この辺でいいか」



そう言って肩から降ろされたのは街で有名な高級マンションの前だった。



その際に見えた彼の首裏の赤い痣には触れない方が吉だろう。





「ここは?」



何十階もある建物を見上げながら問えば、



「俺の家」



と、簡素な答えが返ってきた。




「へぇ〜…はっ!? 家!? なんで!?」




「アジトの方が良かったか?」



どっちも嫌だよ。



そう心中でツッコミを入れてる間に、ヤツは私の腕を掴んでマンションの中に入って行く。



足が長いせいで、前のめりになりながら歩く少女の姿は第三者の目からはなんとも滑稽に映ったものだろう。



ふざけんな! もっと小股で歩け!!




「雲居様、お帰りなさいませ」



中に入った私達を迎えたのは、綺麗なお辞儀をする初老の男性。



え、執事? うわっ、待ってシャンデリアある!



え、マンションってこんなんだっけ?



自分の今いる場所に疑問を感じていると、初老の男性と目が合った。




「……雲居様、女性をお連れするのはほどほどになさいませんと」



「はっ!?」



呆れたようにヤツにそう忠告する男性に思わず大きな声が出る。



「違います違います!! 何を勘違いしているのか分かりませんが、そういうのんじゃないです!」



「は、そうでしたか! それは申し訳ありませんでした! とんだ誤解を…!!」



慌てて頭を下げて謝ってくれる男性に「いえいえ! 大丈夫、じゃないですけど、大丈夫なんで!」と落ち着けていると、ふと感じた視線に顔を上げる。



「もういらねぇし、コイツを襲うほど飢えてねぇよ」



なんて首裏を掻きながら言いやがった。



ふざけんなよ?



お前、今、私のこと上から下まで見たよな!?




















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