病んでるとグレーてる6【完】



ただ諦めただけ。
淡い希望なんざ持ってたって自分が辛いだけなら死んだってことで踏ん切り付けたほうが楽になれた。

結果的に逃げたとしてもあの時はどうしようもなかったんだよ。

誰が俺等を救ってくれる?
絶望の縁に立たされた俺等を誰が引き上げてくれた?

居ねぇだろ、そんな人間。

自分等に出来ることは諦めることと逃げることしか無かったじゃねぇか。

「今更なんだよ、全部もう遅い」

「諦めたなんて口にしても実際は諦め切れてないんだよ、みんな」

「じゃあなんだ、アイツが生きてるってことを信じ続けてりゃいつか報われるのかよ。経験済みだろ、そんな無駄な希望は」

「誰と比べてるの?」

「比べるも何も同じじゃねぇか。死んだ人間は帰って来ねぇ、アイツも同じだ」

3年前も誰も報われなかっただろ?
望みがあるって信じて何が残った?

虚しさ寂しさ悲しさ辛さ、全部マイナスじゃねぇか。

俺はもう嫌なんだよ。

手放したモンがデカすぎた。
アイツが俺の手から離れた瞬間からもう引き戻せねぇ。

「斗真、あの子と柚真ちゃんは違う」

「違わねぇ」

「違うだろ。死んだ瞬間を見たのか?見てないなら希望はある。志郎に言われて自分が愚かだったって思い知らされたよ。諦めが悪いのが俺達だろ?」

「……やめてくれ、今は何も聞きたくねぇんだよ」

場所が悪い。

浴衣を着たアイツを思い出す。
髪を結ってやった。

小競り合いしてチョコバナナを食った。

思い出が残ってるこの宿はキツイ。

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