病んでるとグレーてる6【完】



花火が終わって人混みを掻き分けて進む。

屋台には行列を成してる人間が多い。

「焼きそば……やきとり……たこ焼き」

目に入る屋台を呟いてはズキズキと頭が痛んだ。


「はい、カップルにはたこ焼きオマケだよ」

脇で屋台の親父がカップルにたこ焼きを2コ、オマケしている。

「懐かしい……?」

それが懐かしい気持ちにさせた。

不思議な感覚だった。

でも思い出せない。
どうして懐かしいと思うのか分からない。

思い出そうと必死なのに、思い出そうとするとどんどん分からなくなっていく。

「柚真」

名前は分かっていても女の顔が分からない。

「柚真」

呼び続けても心の奥底で歯がゆい気持ちが沸いて出てくる。

俺は――どうして忘れてしまったのだろうか。

0
  • しおりをはさむ
  • 37
  • 2061
/ 501ページ
このページを編集する