病んでるとグレーてる6【完】

ブレスレット



永輝にいくら話しても記憶は戻らなかった。

諦めたわけじゃない、とコウと一旦退席する南雲に志郎は呉羽とマホを送ると行って店を出た。

残った俺と永輝は沈黙。
思い出そうと必死なのか、永輝は頭を抱えてアイツの名前を小さく呟く。

「柚真、柚真」

キッカケがありゃ思い出すのか?
これだけアイツの話をしてもそんな素振りはなかった。

俺は今も思い出さない方がいいんじゃねぇかって少しだけ思ってる。

思い出してまたパニックになられても俺はどうしていいか分かんねぇし、親父さんにバレれば南雲の立場が悪くなる。

大人の都合で振り回されてる永輝には同情はするが、その決断が俺等の為だとすれば最善だった。

四六時中永輝と一緒に居られるわけじゃない。傍を離れた時に何があるか分からない。

これ以上誰かを失うのも傷付く姿を見るのも耐えられないんだよ。

自分の無力さにガッカリしたくもねぇんだ。

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