病んでるとグレーてる6【完】

招かれざる客


――8月2日午前2時過ぎ。

一台の車を出迎える。


「いやぁ、長旅やったわ」

車から降りてくる男は首をコキコキと鳴らせて身体を伸ばす。

「ホテルじゃなくて悪いな」

後方に建つマンションに目を向ける男は「コッチの方が贅沢や」と目を細めて笑う。

以前使っていたマンションの一室に招き入れる。

「持ち主は玲二か?」

「いや、違う」

「お嬢ちゃんは?」

「柚真は安全なところに居る」

ソファーに腰を降ろし、咳を漏らす男は「あかんな、持つかな」と一人ごちる。

長くは無い。
それは近江に居た時から知っていた。

持病を抱えてるせいで急かされてる。計画を、復讐を早く達成させようと躍起になってる。

俺が近江で動いてたことはこの男、鮫島響の計画を成し遂げさせる為の段階準備。

横溝組に抗争を持ちかけるようにするには生温い近江連合を解体する必要があった、と鮫島は言うが……結局あれは無駄な時間だった。

柚真を巻き込んで痛手を負ったのは俺だ。

だから柚真が俺の元から離れていった。でも今は違う。

試行錯誤しながら取り戻せた。
協力もあったからこそ柚真が俺の手元に居る。

二度と失うものか。

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