傷付かないための三か条(改訂版)【完】 

【二度目の出会い】




透和を初めて近くで見たのは、大学二年の春だった。



その日、取っている講義もなくて午後から暇だった私は、講義で分からなかった所を大学の敷地内にある図書館まで調べに来ていて。



調べ終わって外へ出た時には、すでに夕方になっていた。



空に出ている綺麗な夕日を見て、ふと図書館裏に植えてある桜の木を思い出した。



大学には色んな所に桜を植えていて。



特に中庭や校門付近に植えられてる桜は密集してるのもあって、見ごたえがある。



だから。



図書館の中から眺めることを目的としてるんだろう、図書館裏の狭いスペースに植えられた桜の木をわざわざ見に来る人はいない。



もしかしたら、何人かはいるのかもしれないけど。



取り合えず私は、入学してから一年近くの間、見に行って誰かと鉢合わせたことは一度もなかった。


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