営業一課 ~捕獲包囲網~【完】おまけ小話付き

【6.外回り】




「今日は取り引き先との商談だ。一緒に来い」





異動二日目。



出社した時、フロアに一条課長の姿はなく。



特にやることを言われてるわけでもなかったから、と昨日の続きをやっていた私は少し遅めに出社してきた一条課長に連れられて外へ出た。






「――どこへ向かわれてるんですか?」



車の中、隣で運転する一条課長に問いかける。



ちなみに、上司に運転させるのはどうかとは思ったんだけど、私自身の運転がかなり不安なため言い出すことは出来なかった。



一応、免許は持ってるんだけど免許を教習所で取った後は会社への通勤も電車で行ける範囲だから乗る機会もなく、完全なペーパーなわけで。



それを知ってるわけはないだろうけど、課長は私に何を聞くでもなく運転席に乗り込んだ。



「福富商事」



私の質問に、一条課長は簡潔に答えた。



言われて、記憶の中から福富商事の情報を掘り起こす。



福富商事は、営業と関わりの薄かった私でも知ってる会社だ。



わりと規模の大きい服飾系の会社で、昔からの取引先の一つ。



たしか本社は、私の働いている会社とそれほど離れていなかったはず。


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