貧乏少女





「な、泣いてないです。絶対泣いてないです」


泣いてるなんて分かったら、柑奈さんに申し訳なさ過ぎる。絶対に分かっちゃいけない。



「ふふふ。そうですか。それでは一つだけ約束して下さい。もしこの先苦しく悲しい事が貴方を襲ったなら必ず私か若にお伝え下さい。その約束を守れるならば、貴方を解放しましょう」



何処までも優しい人。ボロボロと涙が床に落ちて行く。暗闇で何度も頷いたって分かる訳ないのに、やっと声が出せる時になってもあたしの声は少し鼻声だった。



それでも、柑奈さんは何も言わなかった。





ありがとうございます。ありがとうございます。



ちゃんと柑奈さんの言葉は胸に閉まってます。零さない様に大切に大切に、あたしの宝物が増えていきます。



「ほ、本当にありがとうございます」


しゃがれた声に柑奈さんは優しい声で「いえいえです」と言った。



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