貧乏少女

泡はいつか消えるもの。

















縁さんは冗談を言わない人なのだと思います。



引き摺られ、何とか嫌ですと訴える事が出来ても彼からしたら蟻が天に向かって何かを言っているのと同じで、耳に入ってるのかも怪しい所です。



「早く来いよ」



ここのお風呂は銭湯だったんじゃないかと思う程、脱衣場も広く、曇り硝子で仕切られた先にお風呂があった、そのお風呂も広く綺麗で何人でも入れるんじゃないかって程だった。



先に何の躊躇も無く服を脱ぎ散らかして行った縁さんの声が曇り硝子の向こうから聞こえた。


逃げ出してしまいたい。



他の誰かが入って来るかもしれないから、入浴中の札を掛けといた。前はそんな物なくて、注意して夜中に入ってたので鉢合わせになる事は無かったんだけど、哲太さんと脱衣場で鉢合わせになってしまい、買って来てくれたのだ。



「逆上せんだろ」



痺れを切らしたのか、お湯がタイルに落ちる音がしたので急いでバスタオルを体に巻いて曇り硝子の扉を開けた。



なんでこんな事に、泣いていいなら大泣きしてました。

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