貧乏少女

節約は心まで /哲太 side





飢えた野獣?

狂った人間?

壊れた殺人鬼?



俺はそんなものより怖いのは若だと思う。



瞳孔を開かせ、口元には笑を作り、噛み付くような口付けをした若の口端には血がついていた。


気を失った嬢ちゃんは、俺の前で必死に目を擦り泣き止もうとしていた餓鬼には見えなかった。ただの女に見えてんだから気色悪いにも程がある。


俺にはそんなバイオレンスの趣味はねぇよ。



「他のもん呼んで嬢ちゃん着替えさせますか?」


漏らしちまったんだ、若の狂気にあてられて泣かないだけ凄いもんだが泣く余裕すらなかったのか、このまま連れてく訳にもいかねぇだろ、適当に女でも呼んで着替えさせるか。


「いい、俺がやる」


気が済んだのか、若はいつも通りに戻っていて、これで無害そうに見えちまうんだから外見ってのは恐ろしいもんだ。


今迄の若なら絶対にそんな面倒な事をしない癖に嬢ちゃんと何かを話したのか、若は嬢ちゃんを担ぐと自室に戻って行った。



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