貧乏少女



「縁、俺はなお前が何してようが構わねぇが場所と人を弁えろ。それに喧嘩に代物を出してる様じゃ、お前は伊千香には適わねぇよ」


「うるせえ。てめぇも殺してやろうか」


人に睨まれる事があったけど、こんな目で睨まれた事はなかった。縁さんがその人を見る目は周りから見てるだけなのに身震いするものがあった。


本当に殺してしまいそうな気配を感じる。震え出さない様に自分の精神を必死に落ち着かせなきゃ。



あたしは、こんな恐い人の前に立ったんだ。感情的だったから咄嗟だったけど、落ち着くと何て事をしてしまったんだろうと思う。



「大丈夫か?」


小さな声で心配そうに気にかけてくれる。ヤクザで縁さんと同じなのに、あたしを人間扱いしてくれて、こんな風に心配してくれる人。


首を上下に振る。




「俺のに勝手に話しかけんじゃねぇよ」



縁さんの手からは既に拳銃を取り上げられていて、乱雑に掴まれていた手を振り払うと、乱れた着物を正す事もせずにあたしと伊千香さんの間に入って来た。



「なんだあの嬢ちゃんは?」




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