貧乏少女

他人は無責任でいられる。











赤く茶色かかった髪を後ろに束ねて、去って行く後ろ姿に縋りたくなった。そんな資格ないのにね。


あたしは、何を勘違いしていたのかな。


縁さんの言葉は間違ってなかった。



ここは少しの火種が誰かの人生を左右するかもしれない場所なんだ、あたしなんかのせいで誰かが傷付いていい筈がない。



「えー。ごほん。私の子供が偉い騒ぎ起こしましたな、そこんとこはこちらの酒で、水に流してもらえれば」


滝沢さんが、懐からハンカチを出し額を拭きながら言った。


「滝沢組長それは構いませんが、貴方のお子さんは自由過ぎやしませんか?うちの子供もちょっかい出されたみたいで」


スーツを着た男性がそう口を開いた。男性の後ろには顔を腫らした男の人が居た。


「それを言うなら縁もだろ」


確かにそうだけど、あたしは間近で縁さんを見てるから分かるんだ。

この人と対峙するとお腹の底から震え上がる恐怖があって、勿論伊千香さんも裏の社会の人だから恐い人に変わらないのかもしれない、だけど彼には人間味があった。


ちゃんと、人を人として思ってくれる優しい心の持ち主だった。


だから、きっとこの人も縁さんより伊千香さんの方が言いやすかったんじゃないかな?

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