国立楼高校「侍科」第一期生による、青春物語。

舞台は現在よりも先の未来、20XX年

日本の経済の悪化により、日本の法は最早意味を為さず、殺人事件が横行、若者の自殺率は年々増加。弱きものが真っ先にやられる。そんな状況を少しでも打開しようと、国立楼高校「侍科」が作られた。


現代の高校生といえば、ろくでなし、人でなし、病弱で弱っちい。そんなイメージがしっくりくる。そんな現代の高校生を一般人を守れる強さを持った侍にすることが侍科の目標であった。


今年の三月に15歳になった佐々宮冬華は国立楼高校侍科一期生に選ばれる。40人の生徒の中で、彼女はとある男子生徒を見つける。彼の名は、倉木海。


はじまりはこの学校ができたことなのかもしれないし、もっとずっと前のことかもしれない。しかしながら、全てが動き出したのはこのふたりが出会ったからに違いない。



「総理、今なんと」


机を挟んで正面に座っている男の顔が、狐に摘まれたかのようにな滑稽な顔になる。これではせっかくの顔が台無しじゃないか。ふっと笑みを浮かべて、聞き返してきた男、すなわち副総理に向かって答える。


「侍科を作る。ああ、校舎は田舎に作ろう。田舎はいいよ。なにせ、私が田舎育ちだからね。」