その声であたしを呼んで




「ごめんな。夕飯作ってくれてたのに…作ってくれた分明日食べるから」


『大丈夫だよ…仕事終わりに飲み会なんて大変だったでしょ?』


物分りが良いふりにも限界がある…頭の中では仕切りに赤信号が点滅していた。


「この時期は人事の入れ代わりとか新入社員の入社とかで、どうしてもな」


『そうだよね…ごめん。今日はもう寝るね。廉も早く寝るんだよ?』


寝ぼけてる風を装って、あたしはリビングを出た先の自室へ行くこうと足を進めた。


『…っ』


「寝るなら、俺の部屋だろ?何処行くんだよ?」


逃げる余地など、与えてはくれない…廉はあたしの手首を掴んでいる。

顔を上げると、廉の瞳はアルコールのせいか少しだけとろんとしていた。それでも…目力だけは変わらずに鋭い。


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