その声であたしを呼んで

*・゜醜い罠


~Side story 奏~


「ねぇ…貴方、廉の彼女のこと好きなんでしょ?」


「はっ?急に何ですか?」


目の前の女性は、グラスに口付けたかと思えば艶かしい瞳で俺を捉えている。

そこら辺の男達をイチコロにする色気のある仕草も表情も…甘ったるい香水の匂いも…嫌悪感。悪寒。


麻衣さんが未だに兄貴に想いを寄せていることは、この店で再会した2年前から知っていた。が…今の彼女である悠里ちゃんを、俺の目の前であんなに傷つけ…悲しませ…謎にキスまでして…麻衣さんの心意が理解出来なかった。


「さっき、彼女のこと追いかけてたじゃない。あんな奏は見たことがなかったから。好きなのかなって思っただけよ」


麻衣さんは鼻で笑って、そう告げた。

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