二十二歳の主人公がある畑で出会った最悪男、でも実は彼、ちょっとした有名人、夢をあきらめ、絶望のどん底の彼と、恋、そしてその先へ

 二十二歳のあの頃、恋愛なんて考えてもいなかった主人公は、田舎への仕送りに追われ、会社の寮を出てしまったことで食べることを切り詰める毎日。

 ある日通りかかった道には無人市場、その奥に広がる広大な畑に感動。

      「感謝します」


 手を合わせた。

      

      「ぷーっ」


 笑われた。

 「あんた、なんで手を合わせてんだ?お地蔵さんでもあるのか?」

 そしてそこで出会った最悪の男。

 ビーサンに短パンから出た足は蟹股、それなりに生えた毛が暑苦しい。うるさい柄のアロハシャツの下には、ドクロの絵が付いたТシャツ、顔はまあいいとして、無精ひげ、汚いな、剃れよなー、サングラスはまるでやくざ、ぼろの炉の麦わら帽子に、汚れたタオルを首に巻いた、近寄りがたい男。


 

      「ちょっとまてよ、金」

      「払いました」


 それが初めての会話、そこから恋なんて、その先なんて、考えてもみなかった。