You're my 神様【完結】

特別な日 /2

 都心にあるホテルの広いホール。

 白いクロスを掛けられた、まあるいテーブルがバランス良く配置されて。

 テーブルの上には素敵なお花と豪華なお食事。

 会場に溢れる笑い声。

 ここにいる人達はみんな、ある二人のことを祝福している。

 いつもとは違う、綺麗なドレスと上品なタキシードに身を包んで。

 にこやかに微笑んでいる二人。

 そう、今日は大好きなお姉ちゃんの結婚式なの。

 壇上では新郎の友人によるコントが披露されている。

 色とりどりの全身タイツの集団。

 笑い声が沸き起こる。

 けれど、あたしの頭は別のことでいっぱい。

 もうすぐあたしの出番だわ……!

 今日この日の為に猛練習したんだから!

 心臓はバクバクで、手汗がヤバイ。

 大丈夫、あたしなら出来る!

 日頃のピアノの成果を見せて、この会場を感動の渦にしてやる!


 ……ん?


 会場の扉を開けて、目出し帽を被った人が突然入って来た。

 全身黒ずくめの格好で男か女かよく分からないけど、ガッシリした体型からして多分男。

 あの人もコントの一員なのかな?

 あたしは扉に一番近い親族席にいたからすぐに気付いたけど、他の人はみんなコントに夢中で誰も気付いていないみたい。

 そう思って見ていると、その目出し帽の男はズカズカと真っ直ぐに今日の主役の二人の元へと歩いて行った。

 と、その瞬間、右手に包丁を持っていることに気付いた。

「え?」

 男は二人の目の前まで来ると、二人の前にある長テーブルに乱暴に乗り上がった。

 振動で食器のぶつかり合う派手な音がしたかと思うと、男は右腕をお姉ちゃんに向かって大きく振り下ろした。

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