ヤンキー・モンキー・ベイビー!

第一章ヤンキー娘、異世界に行く /喧嘩上等!喧嘩買ったら何でやねん・・・

「愚息よ…トーカ殿を紹介せぬか」

『!』


ベルナールの父ちゃん?!
父ちゃんの言葉で我に返ったベルナールが再度私の手をとって王の前に導いた。

先程まで緊張で一杯一杯やった私の頭の中は、横のベルナールをこの後如何に宥めるかになっていた。王への緊張も今のベルナールに比べたら屁みたいに見え、落ち着いて自己紹介をする事が出来た。


ドレスの裾を少し抓んで会釈する。


『お初にお目にかかります。二ホンという国から来ましたトーカと言います。
本来の名前はもっと長いんやけど…、ここでは発音がしにくいようなので愛称で呼んで……クダサイ』

「トーカ殿か……、私はターベルの国王フェルナンド・ヴィーゴ。今、愚息と言った者は、そこのベルナールの父であり、この国の宰相アゼル・シュヴァイン。私達は迷い人にお会いでき嬉しく思う。そして、この度は大儀であった。迷い人は、丁重に扱うのがこの世界の掟。この国が保護するゆえ、生活に不自由があれば存分に言われよ」



王の言葉に笑って頷いた。

その後、王が私に褒美をとらすと言ってきた。金品でもそれ以外何でも良いと言う…。困惑してベルナールを見ると、何でも言えって顔をしてる……。

私をこの国が保護してくれると言う事で、生活は保証された。
それ以外で私が望むものは――。



『ここ王宮図書に通う許可がほしい…デス』

「「「!」」」



昨日私が迷い人と分かり悩んでいると、フレドリックさんが屋敷にある迷い人の伝承なる書物を持って来てくれた。一通り目を通し、溜息が出た。私が知りたいものと違ったからだ。この他にないんかって聞いたら、王宮図書にはもっと詳しい伝記があると言われた。今の自分には、褒美はこれがいいと感じた。今は認識と知識がほしい。

その場に居合わせた衛兵達も驚いた顔をしていたが、王だけが考えた仕草をしていた。


『だめやろうか?』

「金品よりそんな事で良いのか?」

『当面の生活の保護があれば、それで充分…デス』

「因みに何を調べたいか聞いてもよいか?」

『迷い人の事を調べたい……デス』

「・・・。」

『ラムスさんの屋敷にあった書物では、迷い人がどんな益をもたらしたかという、子供に聞かせるような物語ばかり……。私はこの世界に何が起ったかではなく、自分に何が起きたかが知りたいん…や…デス』



はっきりと自分の心内を王に言う。それでこの王がそれは出来ぬと言えば、私はそれを教えてくれる別の所に行こう。言葉は何故か通じるんだ。

じっと王を見る。

私の目に揺るぎがないと感じたのか、王が溜息の後こう言った。


「王宮図書とそれに……家庭教師もつけよう」

『家庭教師?』

「先程トーカ殿はこの世界に何が起ったかではなく、自分に何が起きたかが知りたいとおっしゃった。その通りだと思う。王宮図書で迷い人とは何なのかを調べるついでに、貴方が来たこの世界の事も学んではどうかな。さすれば、ご自分の取り巻く世界、そして迷い人として召喚された意味も分かるのではないか?」


王の言葉に納得する。勉強は週に4回。此処王宮でする事。教材も人材も王宮では揃っているからだという。そしてベルナールとマルクスを私の警護に付けた。

王が続けて言う。私は貴方が何かの益をもたらすではなく、この国に来た知人として接したいと…。


薄っぺらい友好の言葉は感に触る。

さっきから気になるカーテン奥の視線。知人を隠れて観察させてるってどういう事やろうな…知人…の王様。カーテン向うの人間に目線を向けて言うてやった。



『知人…の王様…。隠れてはる人を紹介して貰えますか。何や気が悪いよって』



王に対してわざと鈍って言う。ベルナールがピクリとしたがそんなん知らん。


「っ!……ばれておったか。…私の弟、ゲル・ヴィーゴだ。弟は外務大臣でな、ザルビアとの停戦協定の立役者のトーカ殿がどんなお方か見ておきたいと申してな…悪戯心で隠れて見ておったのよ」


慌てた王が名前を言うと、カーテンに隠れていた男が出て来た。

このおっさん、悪戯好きな顔じゃないよな。モノを上から見た目……。ガンつけの目や。気に入らんな。ジャブ打っとこか。



『初めまして。悪戯心で観察された私のなりはどないでした?』



わざと此処も鈍りで話す。


「・・・。」

『二ホンのことわざに、目は口ほどに物を言うっていう言葉があるんやけど、ゲル様のそれは、まさにそれ…ですわ。くすっ』



小ばかにした笑いも入れてみた。バカにしてんのかって言われたら、私がこの人の目をどういう風に感じたかは、言うてないでって言うてやろう。お前がそうとったんなら、実際そういう目でお前は私を見たんかって言うてやる。





さぁ、どうでる?

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