ヤンキー・モンキー・ベイビー!

第一章ヤンキー娘、異世界に行く /あぁ・・頭が痛い

停戦協議から一週間後。



今日ザルビアに向けて発つ。


「おい、モンキー娘。準備できたか?」
『マルクス、ラムスのおっさんに声かけてくるし、少し待っててくれるか?』
「俺はいいけど・・・なるべく早くな」


あの事件以後、モンキー娘に会わす顔が無いと言って引き籠りになったラムス閣下。
モンキー娘が閣下の部屋に行くのを見て、俺は溜息をついた。

俺の頭の中で確実な図式が出来上がっている。
まずベルナール、次に此処の主ラムス閣下、そしてクロード皇太子。極めつけにゲル様・・・。


その全ての矛先がモンキー娘にいっている図式だ。


俺は?全くないといってよい。気が合う止まりだ。そこで自分はまだ冷静だとほっとする俺。

番への求愛レベルは人それぞれだが、奴等の求愛はドン引きだ。皆が理性を無くす。

何故に皆があいつに振り回され魅了されるのかが分からない。というより分かりたくもない、巻き込まれたくねぇからな。

このザルビアへの旅、嫌な予感しかしねぇ。あの図式の面子で事が起こらないはずがない!




あぁ…頭が痛い。胃が痛い………。



***



『おっさん!ザルビアに行く前に顔見せろ。私は気にしてへん!!聞こえてるか?』


耳を澄ますが、今だ声も物音もしない。仕方ないので、ドアをけ破るという強硬手段をとった。

一週間もおっさんと顔を合わせてない。
こういうのあんまり好かん性質の為、ザルビアに行く前に何とかしたかった。


け破ったドアは、無情にも蝶つがいの所でブラブラしている。自分の怪力に再度吃驚である。

中に入ると、ソファーでおっさんが警戒したミーアキャットのように背筋を伸ばしこっちを見ていた。


『この根性無し!私が気にしてへん言うてんのにウジウジと!』


そう言ってつかつかとおっさんに詰め寄ると、ソファーから降り2m以上あるおっさんが身を縮こませ、か細い声で謝罪する。


「と、と、トーカ殿…、こ、こ、この度はご、ご、ご迷惑を…かけ…大変…も、申しわ…」

『あ゛ぁー!!うっさい!!おっさん、風呂には入ってたか?』


無精ひげの生えたおっさんに聞くと、意味が分からないまでも、首を縦に振った。

それを聞いて、おっさんの首の匂いを嗅いでから、思いっきり噛みついてやった。


「いっ、いっつ!!」

『これでお相子や!血は出てへんけど痛かったやろ?痛み分け。終わり。仲直り。意味分かるな?』


子供に言い聞かせるみたいに言う私に、おっさんは間抜けな顔をしてた。

そんなおっさんに帰って来るまでに髭剃れよ。ほんじゃ行って来る。そう男前な言葉を残して去ろうとした瞬間、ガシッと腕を掴まれる。後ろを振り向くんも嫌なぐらい、フーフーと息の荒い音が聞こえて来た。

その鼻息が荒いおっさんに異常を感じながら、体は振り返らずに自分の行動を振り返ってみる。

淑女1人で男性の部屋に入るべからず?いや…これではないな…。やったらあかん言動、行動…。つい最近、勉強になった新事実があったような?出掛かった答えを消すように、バタバタと廊下から走って来る音が聞こえた。マルクスとフレドリックさんだ。
多分、蹴破った音で駆けつけて来たのだろう。

ブラブラしたドアに驚きながらこっちを見て、2人が固まった。

そしてすぐにマルクスがフレドリックさんに向かって、「ベルナールを!!」と叫んだ。

後ろのおっさんがどのような状態かこれで察する私。


マルクスが近寄ると、私の腕を持ったままグゥゥ…と唸るおっさん。


威嚇である、、、。



マルクスが目の前の私に聞いてくる。


「モンキー娘!お前また…何かやっただろ!」

『知るか!ほんでもってまた…を強調するな!!』


私も何をやったかお前が来る前に考えてたとこや・・。

スイッチが何やろうと思って後ろのおっさんをそろっと見た。
ちょうど見た先に首に付いた歯形が目に入った。



その途端クロード皇太子の言葉が頭の血管に澄み渡る。




"―――――嫌がる女にマーキング"




肩を噛まれた事をマーキングと言っていたクロード皇太子……。

思わず乾いた笑いが出た事で、マルクスが「やっぱりまた…じゃねぇかよっ!!」って突っ込まれた。

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