白雪姫とヴァンパイア(1)【完】

第二章 目覚めゆくもの /言葉の続き


「姫ちゃん、お帰りー!」

教室に戻って、かかったのはマッチの声。
それに振り向けば、みんなお弁当を片付けた後。

多分、雑談してたんだろう。
その中には、倉前くんの姿もあって。

ちらりと合った視線に、私は目を逸らした。

──倉前くんの目は、苦手だ。

今朝のことだって、あるけれど。

何より、見透かされてる気がするから。


月が私のことをお見通しだっていうのとは、また違う。

……見られたくない部分すら、全部見られてしまう気がする。

そんな私に、マッチが首を傾げた。

「姫ちゃん、お昼はどうしたの?」

「あ……ああ、中庭のベンチで食べてきちゃった」

さすがに、月と一緒だったなんて言えない。
……まして、お弁当をもらったなんて、もっと言えない。

言ったら、助けてもらったこともわかっちゃうし。

それにきっと、月は人気者だから。
だから──……

「そんなことよりー、赤城くんはどこ行ったんだろ!」

「アンタさっきからそればっかりー」

「だって気になるじゃない! 水梨さんと一緒に出ていったし……」

朔ちゃんと一緒に……
ってことは、きっと二人で探しに来てくれたんだ。

……なんてことは、言わない方がいいよね、多分。
いや、ほんとは言わなきゃいけないんだけど……言い難い。

きっと、何で一人でやらなかったのって聞かれるから。

それは当然のことなんだけど……
自分からは、言い出し難い。

「二人って、知り合いなの?」

「え、あ……ううん。昨日、偶然会ったの」

「あー……なるほど、仲良いもんねー。白井さんと水梨さん」

女の子の問いかけに答えれば、納得したような反応が返ってくる。

いつの間にか、呼び方が“白井さん”に戻ってることに内心苦笑した。

マッチ以外の子が“姫ちゃん”って呼んでたのは、きっと月の前では私と仲良しのフリをしてた方が都合が良いからなんだろう。

……本当に、月はトクベツなんだなぁ……

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