白雪姫とヴァンパイア(1)【完】

白い鳥


真っ白な世界。
霞がかって見える景色は白を基調とした淡い色合いで、今ひとつ何があるのかはっきりしない。

どちらの方向に、何があるのか。

私は一人周囲を見回し、首を傾げるしかなくて。

「どこだろ……」

呟いてはみたけれど、それでわかるはずもない。

見覚えのない場所だ。
まるで異世界のように、全てが曖昧ではっきりしない。


そんな中。


自分以外の気配を感じて、私は後ろを振り返った。

そこにいたのは……

「鳥……?」

数羽の、小さな鳥だった。

スズメくらいの大きさだと思う。
こちらを見て、不思議そうに首を傾げる様子が可愛らしい。

だけど、それは決してスズメじゃない。
何故なら、その鳥達は。

「……真っ白……」

色が、どこまでも綺麗な純白だったからだ。

汚れも、他の色も一切ない。
本当に、真っ白な小さい鳥。

それは、ある種神聖で。
……それでいて、現実味があまり感じられなかった。

しばらく私を見ていた鳥達は、不意に小さく飛び跳ね背中を向けて。

そうして、空へと飛んでいく。

「あ……!」

特に、理由があるわけじゃない。
だけど、ここにいるのは私以外ではあの鳥達だけ。

だからなのかもしれないけれど。
何故だか、私はあの鳥達を追わなきゃいけない気になった。

不明瞭な地面を駆けて、空を飛ぶ鳥を追う。
鳥達はまるで私を誘うかのように、ゆっくりとした速度で飛んでいて。

そうして、ふとした瞬間に下方へと向かっていった。

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