白雪姫とヴァンパイア(1)【完】

第一章 斯くて世界は廻り出す /転入生


私の席は、窓際から二番目の最後尾。
男女別に縦六列のその席順で、私だけが一人後ろに飛び出てる。

女子の方が男子より一人多い、三十七人クラス。
七列目が他にいないからわりと気楽だったけど……転入生であるユエくんは、多分私の左隣にくるんだろう。

現に私の隣には、昨日までなかった机と椅子が置いてある。
真新しいそれは、きっとユエくんが使うものなんだろう。

何となくそれを眺める私の耳には、クラスメイトの話し声がはっきりと入ってきた。

私のクラスの担任は比較的教室に来るのが遅い。
もちろん他のクラスではホームルームが始まっているところも多いから、そこまで大袈裟に騒ぐことはないけれど。

それでも既にクラスに慣れきった十一月ともなれば、静かに着席して待っている人なんてほどんといない。
席にこそ着いてはいるけれど、教室中から雑談の声が聞こえてくる。

「イケメンフランス人の転入生ー?」

「お前ら、そりゃ夢見すぎじゃねーの?」

女子の主張を、鼻で笑い飛ばす男子と。

「なーによ! 白井さんの情報よ?」

「知り合いなんだから間違いないわよ!!」

憤りながら、不満そうに反論する女の子。
今の教室で見られるのは、大抵がそういう光景だった。

本当は私の方ではユエくんのことを覚えていないから、厳密に言えば知り合いって言えない気もするけれど……
でもカロルさんはお母さんの親友で、私もよく知っている相手だし。
そんなカロルさんの息子さんともなれば、一応知り合いと言っても不都合はないだろう、多分。

第一、ほとんどの女子がそう言ってしまっている以上、否定するのであれば教室中に言って回らなければならなくなる。
そんなことをする気になれるはずもなく、私はただ一人イスに座って沈黙した。


「マジかよ!」

「んじゃ、梓とどっちが上?」

ある程度信憑性があることが分かれば、次に生まれてくるのは疑問。
それは、ユエくんの容姿のレベルを確認するためのもの。

梓……倉前くんは、多分、今この学校で一番人気のある男の子だ。
その理由の一つには、もちろん容姿も含まれる。
だからこそ、転入生であるユエくんとどちらの容姿が優れているのか、男子が気になるのも無理のないことだと思う。

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