白雪姫とヴァンパイア(1)【完】

黒き鳥




真っ暗な世界。
一切が闇に包まれて見える景色は黒一色に染まっていて、何があるのかが全く予想できない。

どちらの方向に、何があるのか。

私は一人周囲を見回し、首を傾げるけれど。

「でも……」

何となく。
何となく、前にも似たようなことがあった気がする。

その時には、確か正反対の、白い世界だった気がするけれど……

自分の手のひらを見つめる。
周囲には何があるのか分からないけど、何故か自分の姿だけは、光の下にあるかのようにはっきりと見えて。

どういうことだろう。

不思議に思って、改めて周囲を眺めてみる。

どうしてこんな場所に来たのか。
まるで断絶された世界のように、全てが静かで何も見えない。


そんな中。


自分以外の気配を感じて、私は後ろを振り返った。

そこにいたのは……

「鳥……」

数羽の、大きな鳥だった。

鴉(カラス)が、そのまま鷲(ワシ)になったかのような大きい姿。
こちらを見て、見定めるように微動だにしない姿に緊張する。

見たことがない……というよりも、現実には存在しないと思う。
何故なら、その鳥達は。

「……真っ黒……」

色が、どこまでも深い漆黒だったから。

僅かな光も、他の色も一切ない。
本当に、真っ黒な大きい鳥。

それは、とても神々しくて。
……それでいて、現実味があまり感じられなかった。

しばらく私を見ていた鳥達は、不意に大きな翼を広げて。

そうして、空へと飛んでいく。

「あ……!」

あの時と正反対で、だけどよく似たこの世界。
今ここにいるのは、私以外ではあの鳥達だけだけど。

もしかしたらまた、なんて。
そんな確信めいたものを抱いて、私はあの鳥達を追っていく。

不明瞭な地面を駆けて、空を飛ぶ鳥についていく。
鳥達はまるで私を誘うかのように、ゆっくりとした速度で飛んでいて。

そうして、ふとした瞬間に下方へと向かっていった。

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