白雪姫とヴァンパイア(1)【完】

第一章 斯くて世界は廻り出す /放課後の一幕


私は聖人君子でも、ましてや天使のような子でもない。
人間だから、欠点だってたくさんあるし、怒られるようなことだってたくさんしてきたとは思う。

けれど……さすがにこれはないんじゃないかな……


「じゃあ白井さん、放課後、赤城くんに校内を案内してあげてね」


……神様、あなたは私がお嫌いですか?



* * * * * 



午後の授業でも、今現在、担任の先生が話している間にも。
ぐるぐると頭を巡るのは、月くんの…………告白、で。

正直、まだ信じられない……
……っていうより、現実味がない。

だって、まだ一日目だし。
いや、月くんから見たら既に知り合いなわけだけど。

月くんは……トクベツな人だし。
私みたいな平々凡々な一般人とは、違う。

むしろもう、夢でも見たんじゃないかと思えてくる。

……事実だろうけど。
お昼ご飯の味とか、鮮明に覚えてるけど。
ついでに言えば……一応、色々、感覚としては覚えてるわけで。

さすがに妄想で温度まで感じるほど、私は寂しい子じゃないはず。
……多分。

いやでも、明日起きたら夢だと思いそうな気がする……
それくらい、現実味がない。


ちらりと、隣の席の月くんを見てみる。

相変わらず、興味なさそうな無表情。
灰色がかった薄青の目が、じっと先生を見つめてる。

……見つめてた、のに。


不意に月くんが、こっちを見た。


大きく心臓が跳ねたのは、絶対に気のせいなんかじゃない。

ばっちり目が合っちゃって、思わず私は顔を背けた。

……ちょっと、いや大分あからさまだったかも……
でも月くんも鋭すぎというか……
いや、見てた私が悪いんだけど、でもでも……っ!


というよりも……
月くん、平然としすぎじゃないかな……

だって、ほら、一応、私…………告白、された、わけだし?
何か……色々、言われた、わけだし。

言われた私は、未だに混乱してるのに。
教室に戻ってきた月くんは、全然変わってなくて。
クールで無愛想な彼になってて。

……正直、気まずい雰囲気にはなってほしくない。
せっかく、仲良くできそうな人だったから。
だから、それはありがたいんだけど。
……ありがたいんだけど、でも、さ。

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