白雪姫とヴァンパイア(1)【完】

第二章 目覚めゆくもの /初めての登校



「行ってきます」

今日も挨拶は忘れない。

いつもと変わらない日常。
最初に家を出るのは私。
だからリビングからは未だに楽しそうな会話が聞こえる。

それを背中に受けながら、私は玄関のドアを開けた。

空は快晴。
空気も、ちょっと冷たいけど穏やかで。

ああ、今日もいい天気だ。
……いい天気、なんだけど。


目に入ったのは、見覚えのある綺麗なプラチナブロンドで。

月は私を振り返ると、薄い笑顔を浮かべた。


「Bonjour,由季」

「……おは、よう?」

つられて、挨拶し返したけど。

「行くんだろう?」

「ああ、うん。そうだね」

突っ立ってた私に、月が確認してきて。
それに対して、頷いたけど。

「ならば行くぞ」

誘うように目を向ける月。
その隣に並べば、自然と歩き始めたけど。

……うん、ちょっと待って。


「……何で、いたの?」


カロルさんの家は、私の通学路の途中にある。
別にそんな遠くない距離だけど。

わざわざ反対方向の私の家に、迎えに来る理由なんてない。
そう思っての問いかけに、月は不思議そうな顔をした。

「あそこは由季の家だろう?」

「……うん。まぁ、そうだけど」

正しく言えば、お祖父さんの家だけど。
その次に叔母さん夫婦のものであって、その後に弟二人が来て、最後の私はただの居候に近いけど。

一応首肯すれば、月は首を傾げた。

「共に登校するなら、あそこにいなければならないだろう」

さも当然、とばかりの答え。
まだ覚醒しきっていない頭は、しばらくの後にその内容を理解する。

「……え、あ……」

一緒に、登校するため。
そう返されて、私はとっさに言葉が出てこなかった。

特に、約束した覚えはない。
それに、カロルさんの家は私の通学途中にあるわけで。

私が前を通るときに、出てくればいいんじゃないだろうか。

そう考えたのがわかったのか、月は薄い笑顔を浮かべた。

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