白雪姫とヴァンパイア(2)【完】

第四章 姫君と薔薇 /無月の夜



いつか失われるならば、

最初からそんなの欲しくない。


失わないように、なくならないように、

大事に、大事にしてきたのに。


それでも結局、失った。


私の努力が足りなかったの?

私がいけないことをしたの?



私じゃ、やっぱり、だめだったの?



その私の問いかけに、答えてくれる人はいない。


その代わりに、誰のものでもない声が響いた。


お前の努力が足りなかったんだ。

お前がいけないことをしたんだ。



お前じゃ、やっぱり、だめなんだ。



反論することはできない。

そうするための根拠もなければ、そうするだけの自信もない。



いつの間にか降り始めた雨は、まるであの日と同じよう。

立ち竦んだまま、そこから一歩も動けない私もまた。


あの日に戻ったかのように。

あの日から一歩も動いていないかのように。


一年の時を経て、再び記憶が蘇る。



暗い、昏い、月のない夜のような思い出が。

0
  • しおりをはさむ
  • 3716
  • 1093
/ 478ページ
このページを編集する