白雪姫とヴァンパイア(2)【完】

第五章 月光囁く夜の唄 /休息



「……由季、」

「だめ……っ!」

月の声に、私が必死で首を振る。
その返答に、月が不思議そうにしてるのが雰囲気で分かった。

不思議そうっていうよりも、困惑に近いかもしれないけれど。

「何故駄目なんだ?」

「……っ……それは……、」

言葉に詰まる。
伝えるべき事は分かってるのに、どうしても口にできなくて。

言い出すのを躊躇っている私に、きっと月は首を傾げた。

「昨日は頷いてくれただろう?」

「そ、そうだけど……!」

……確かに、月の言うとおり。
私は昨日、確かに頷いて、了承したわけだけど。

それでも……

「でも、やっぱり……っ!」

無理なものは無理なんだと、そう言いたい私に。

月は、ただただ困ったように息を吐き出したみたいで。
呆れているというよりも、やっぱり不思議そうな雰囲気を感じた私に。

月は、そっと唇を開いた。



「一緒に寝るのが何故駄目なんだ?」



「普通はだめなのーっ!」



押し問答を繰り返す私と月がいるのは、客間のドアを挟んだ内外。
もちろん私が室内で、月は廊下にいるわけだけど……

今日も調子が悪い私は、月の家に泊まることになって。
お風呂も夕食も済ませて、勉強しようか、ってことになったんだけど……


……正直、気まずい。

というよりも、言っちゃえば……ものすごく、恥ずかしいわけで。


いや、だって、「ずっと一番好きでいて」なんてワガママも良いとこな上に、よくよく考えなくとも恥ずかしいお願いしちゃったし!
あんなの普通恋人にだって言わないと思うし、きっと両親がいたとしても言わないと思うし……!

しかも「好きになりそうだから」とか言っちゃった気がするし……!
っていうより、確実に言った。間違いなく言った……!

仮にも……片想い、してくれてる人に……っていうか、それ以前の問題だけど!
それにしても、下手に期待を持たせるようなことを言うのも良くないと思うし……

その上、それだって今日ようやく自覚したばっかりなのに、どうして当日に言っちゃうかなぁ……!!
しかも月に! 当の本人に!!

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