車椅子でキス

6.恋




すっかり慣れたはずなのに、すごく違和感がある。

柴田病院の文字が、赤く光る看板。
駐車場はいつも満員で、人の出入りも多いこの時間。


私はすれ違う患者さんや掃除員さんに挨拶をして、ロビーを通り過ぎた。


「お疲れ様でーす!」

向こうから私服姿の新田さんがやってきた。

今日も可愛らしい服装。
スキップをする度に、スカートがふわふわ揺れている。


「お疲れ様です、何かいいことでも?」

聞いてほしそうに瞳を輝かせるので尋ねてみた。
案の定新田さんは、頬という頬を緩ませた。

「ずっと見たかったドラマがあるんです!今日は彼氏と一緒におうちデートなんですよー!」
「まぁ……!」


そこまで年も変わらないが、初々しさに私の心は和んでいった。


0
  • しおりをはさむ
  • 18
  • 13
/ 327ページ
このページを編集する