端役の気持ち




その場を恐怖が支配したせいだろうか。



喧騒もヤジも一瞬で止まる。



暴走族なんて子供の使いに見えてしまうくらい、本職のヤクザと東征会会長の登場はその場にいた人間の血を凍らせる。





「聖良 」





「お父様 」





久しぶりに対面した父は私に会いに来たのではなく、私を捕えに来た。





「一人の娘の父親として東征会会長としてお前を放っておくわけにはいかない。」




差し出された手は優しさの欠片もない。


いつだって待っていたのに。



私に会いに帰って来てくれるのをあの大きな屋敷でお利口に待っていたのに。


今日までただ一度も差し出されたことのないその手は私を捕える為に来たのだ。











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