端役の気持ち

どこまでも愛されない私


鍵を閉めても外の音まで遮断できはしない。
繰り返される怒号と銃声に心臓の音が大きくなってゆく。


葵さんから渡された携帯のアドレスを開き一番を躊躇いなく
押すと数秒で逢いたくて堪らない声が聞こえ。


「なんや。」と事務的に答える声に安心感が湧く。


「洸さん」と慌てて呼べばそれだけで悟ってくれたのだろう。


「今どこや。」


と声を潜める洸さんに


「マンションの洸さんの部屋です、葵さんがここに居ろって」

と答えた。声が震えてしまうのはだんだんと大きくなる怒号と
銃声だけのせいじゃない。


なんだかこの電話でのやり取りが洸さんとの最後のやり取りの
ような気がして。


私は幾度も洸さんと呼ぶ。


「電源はそのままにしとくんやで。今車に向かっとる。
すぐに戻るからな。安心せぇ。それとなクローゼットの中の
引き出しに銃が入っとる。小型やからお前でも使えるはずや。」


「銃・・」


「お前がそんなものを使わんでも済むよう、すぐに戻る。けど
危険が迫ったら躊躇せず使うんや。」










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