キミは誰と恋をする?【完】

おまけ /年越し



読者様に日頃の感謝を込めて


年越しver.中2のヒイロと中3の真綾


「さ、寒い!!」


ひゅーと、冷たい風が走り抜けた。
12月31日、天気は曇り。


お気に入りの赤茶色のダッフルコートのボタンを首が埋まるまで締めて、両腕で暖をとる。
それでも寒さは消えない。


(髪の毛で首を暖めるか。)


二つくくりのみつ編みをほどいた。


「こんな寒いなら、家にいればよかった……」


寒さに負けそうな私の独り言は、虚しく空に消える。


「お待たせ、真綾」


凛とした声に、俯いていた顔を上げる。
そこにいたのは、ニット帽に、マフラー、ダウン、手袋とちゃっかり着込んだヒイロがいた。


「完全防備だね」


「真綾は珍しく薄着だね」


こんなに寒いのに、と可哀想な目でこっちを見てくる。


「受験勉強で、ずっと家に籠ってたからね。


外がこんなに寒いとは思わなかった……」


今は来年受ける赤星学園の受験に向けてのラストスパートなのだ。


根詰めていた私に、気晴らしに、としー兄が『No name』のカウントダウンチケットを2枚くれた。
ヒイロとおいで、と言って。


「お疲れ様」


私の苦労を知ってか知らずか、ヒイロはマイペースに会場へと足を向ける。


「寒いなー、寒いなー、寒いな」


完全防備のヒイロに、恨めしそうに私は寒さアピールをする。


「………」


鬱蒼としたヒイロの目が、私を沈黙にさせた。
普段はヒイロの方がかまってちゃんなのに………


「はぁ」


私は小さな溜め息が溢れる。


そして、パシッと顔に何かが当たる。


「いたっ」


当たったのは手袋。


しかも、右手だけ。


なんか文句ある?と言いたげな顔で、こっちを見ている。


「ヒ、ヒイロの優しさだー」


「利き手、霜焼けになったら勉強に支障が出る」


ヒイロらしい優しさに思わず、笑みが溢れた。


「ヒイロ!!可愛いすぎるー」


「男に可愛いは誉め言葉じゃないし」


少し拗ねて、


ほら、行くよ、と私の少し前を歩く。


12月の寒空の下。
思春期のヒイロと私の小さな思い出。

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