夜の牙 下 【完】

第六章 /離別






「離婚、って…なにそれ」



居心地悪そうに肩を揺らしたお父さんは、微かに俯いた。


苦渋の表情を浮かべる。



「…いや、なんでもない。ただ、ちょっと喧嘩しただけなんだ」


「…喧嘩って、」



それだけで、いきなり驚かせないで。



ほっと息を吐いて、私は強張った体から力を抜いた。



―――なんだったんだろう。



思わずお父さんへ向けていた視線を、再びテレビへ戻す。



主演の女優と俳優が抱き締めあっていた。


本当に、愛しいとでも言うように。



―――お父さんの言葉を聞いた瞬間浮かんだ、どうしようもないような感情。



私と豹が抱き締め合っていた時、あんな風には見えていなかっただろうか。


そんなどうでもいい事を考えた。



―――あの感情、なんていうんだろう。





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