夜の牙 下 【完】



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「おはよう、藍」


「…おはよう」



登校して、眩しいほどの笑顔で迎えてくれた杏樹。


それに、私は沈んだ声で返事をした。



今はもう、明るい声と笑顔を出せる気がしない。



「藍…どうかした?」



席に着いた私に駆け寄って来て、杏樹は小首を傾げる。



心配そうに下げられた眉尻に、なんだか情けない気分になった。


杏樹に心配させてしまった。



「ううん、なんでもないの」



そう言って笑みを浮かべる。



「…藍のばか」



ぽつり、呟いた声を聞き取れなくて聞き返そうとすれば。



「…ふぁに」



いきなり、杏樹に頬を引っ張りつねられた。





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