夜の牙 下 【完】

第七章 /過去







「今日も寄ってくよね?」


「あ、じゃあ行かせてもらう」


「何それ」


「笑うな」



カフェの前で絢音さんとは別れて、私と豹は並んで歩いていた。



美希さんのバーへ行く為、途中で繁華街から外れて路地の方へ入る。



人通りが多い方ではないし、道もどこまで広くない。


そんな道だけれど、危ない道ではなかった。





「っ藍!」





―――はずだった。



突然左から飛び出して来た男が、私に向かって鉄パイプを振り上げた。



正直、意味がわからないでもなかった。



以前、天野さんが言った通り豹に喧嘩を売る人間は滅多にいない。



それでも、やっぱり豹は恨みを持たれてもおかしくはない。



「――っ、」



振り下ろされる鉄パイプと、私に手を伸ばした豹。





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