夜の牙 下 【完】







それは、いつも余裕たっぷりの態度でいる悠理くんには珍しい事だった。



「…それは、」



情けない声。


弱々しい瞳。



あまりにも彼らしくないので、私は怪訝に思い、ただ見つめていた。



「それは、俺にも色々と思うところがあるんだよ」


「あ、そう」


「相変わらず、藍ちゃんは冷たいね」



イスに腰かけた態勢のまま、膝を抱えて額を埋める。



まるで1人ぼっち、寂しがる子供のような行動だった。



「……悠理くん…?」


「嫌いなんだよ。俺は豹が大嫌いだ」



吐き捨てるように言う様は、本当に嫌っているようだ。



確かに、私は豹を好きだけれど、豹を好きじゃない人間も多いだろう。


あの性格だから。





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