夜の牙 下 【完】







昼休み、私と杏樹はいつも通り教室で昼食を食べて、校内にある自販機に飲み物を買いに来ていた。



杏樹はイチゴミルクを買い、私は小銭を入れてどれにしようかと悩む。



「…どれにしよ」



こうやって呑気に呟いていた自分が、後から思えばものすごく間抜けに思えて仕方がない。



でも、考えてみれば、私が杏樹から目を離したのはほんの30秒ほどだった。



財布からお金を出して、自販機に入れて、飲み物を選ぶ。


出てきたミルクティを取り、振り返って―――



―――そこにいるはずの杏樹が、いなかった。



最初は、少しどこかへふらっと歩いて行ってしまっただけなのかと思って探した。



けれど、いない。



さらには、杏樹から「紅蓮の人が護衛についてくれている」なんて聞いたから、その護衛を探せば。



「…」



自販機からすぐ近くの廊下を曲がったところに倒れていた。





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