夜の牙 下 【完】

第八章 /空漠







あれから、何も起こらず校内でも悠理くんとは会わなかった。



そのまま冬休みに入り、平穏かつ平凡な日常が続いている。



冬休み初日、私は起きてすぐにリビングへ降りて来ていた。



少し喉が渇いたからで、本当はリビングへは顔を出したくないのだけれど。



だって、リビングにはお母さんと弟がいるから。



「…おはよう」



ドアを開けてそっと入り、ソファに座って雑誌を捲っていたお母さんに声をかけた。



気だるげに顔を上げたお母さんは、そのまま返事をせずに雑誌へ目を戻した。



「…」



仕方なく、私は俯き加減に台所へ行き冷蔵庫を開けた。





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